大副業時代が到来し、不動産投資を検討するサラリーマンも多い。アパート経営で脱サラ、セミリタイヤを実現した体験談を読むと、期待と理想も高まる。しかし儲からない現実、破産を実体験する現役サラリーマン大家もいる。初心者が陥る罠と実際の現状を、実際の不動産賃貸経営の実績値をもとに解説する。
大副業時代とは言っても、不動産投資では大きな決断をするわけなので、お小遣い稼ぎで終わるつもりは無く、高みを目指したいところです。
「現役サラリーマン大家の現実って本当はドウなの?」
「会社員のアパート経営の現状って上手くいってるの?」
現実に目を向けると、それは困難な道でした。多くのサラリーマン大家が、理想であったセミリタイヤの実現まで到達できないわけです。
実際に不動産投資を始めると、「本や雑誌でよく見る成功談話は、ごく一部の成功者の話に過ぎない」と気づくわけです。
まずは現実を知り、そこから見えてくるセミリタイヤ実現の方法を探っていきます。
目次
セミリタイヤを目指すサラリーマン大家の儲からない現実
不動産投資に興味があるサラリーマンは、そもそも全員がリタイヤを目指しているのではないでしょうか。多くの著名な専業大家の多くも、サラリーマン大家からスタートしています。
しかし、現実は甘くないわけです。準備をして、勉強もして、お金も貯めて、いざ初めの1軒目を購入します。
その時、多くの初心者サラリーマン大家が現実に気付くのです。
「不動産って、税金ばかり払って、ぜんぜん儲からないじゃないか!」
期待したほど儲からないため、始めの頃の興味を失ってしまい、リタイヤへのチャレンジから脱落していくわけです。勉強も、情報収集も疎かになって、不動産会社に任せっきりになっていきます。
このように、セミリタイヤを諦めた状態になる初心者サラリーマン大家が、実に95%以上だと聞きます。では、残り5%の投資家、順調に規模を拡大していく側になれば良いわけなのですが、何をすればのでしょうか?
不動産投資の勉強不足という現実
そもそも、不動産投資に取り組む前の、事前の収支シミュレーションがしっかり行われていない場合が多いです。
不動産投資は「想定外」のリスクは、起きにくい投資です。つまり、事前に全てのリスクを数値化して収支シミュレーションを行えば、ほぼその通りの結果が得られる投資が、不動産投資です。
リスクとは、賃貸需要下落や経年劣化に伴う、空室率、家賃下落、です。コレらも事前の収支シミュレーションでは数値化して、考慮できるわけです。
税金の計算は難しいですが、それでも「どんな種類の税金が、いくらぐらい必要なのか」は、ザックリと把握できます。
ぜんぜん儲からない、とか、思ったほど儲からない、という現実を感じている現役サラリーマン大家が多いのは、勉強したつもりだったけど、結果的には勉強不足だった、という現実があるわけです。
不動産投資会社に任せっきりという現実
なぜ、勉強不足になってしまうのか、という話です。これは、不動産投資業者が全てを行ってくれるため、次第に考える事を止めてしまうのが原因だと考えます。
多くのサラリーマンが、最初に検討するのは大手の不動産投資会社の物件であることが多いわけです。初心者で、いきなり中古の築古物件にチャレンジできるスキルと度胸のあるサラリーマンは少ないのが現状です。
大手の不動産投資会社の物件を検討すること自体は悪い事では無いのですが、大手不動産業者の営業マンは収支シミュレーションも含めて、全てを手厚くサポートしてくれます。
そうなると、次第に考える事をストップしてしまい、任せっきりになってしまう現実があります。しかし、大手不動産業者が提示する収支シミュレーションには、全てが書かれていない事が多いわけです。
経年劣化に伴う家賃下落、入居者が入れ替わる度にかかるリフォーム代、入居者募集を行う際に必要な広告費、毎年必要な税金、10年に1度必要と言われている大規模修繕費、現実には様々な費用が発生します。
しかし、それら出費が含まれていない収支シミュレーションを見せられても、初心者サラリーマンは、全ての支出が記載されていない事に気付かないわけです。業者に任せっきりにすると、とても楽なのですが、罠も現実にあるわけです。
リタイヤを目指すサラリーマン大家の現実を見据えた心構え
はじめに現実を知っておき、それを踏まえて計画的に進めることが重要です。全てを事前のシミュレーション通りに進めれば、精神的にも資金的にも挫折することもなくなります。
まずは、不動産業者に任せっきりにしないで、常に知識をつけようとするモチベーションの維持が必要です。
不動産経営とは、時間とともに「複利」で育てていく投資です。残念ながら、金融投資のように一発逆転の要素はありません。不動産投資が実を結ぶには、時間がかかるわけです。
と言っても、具体的な数字が無いと現実的にイメージがしにくいので、具体例を出して「いったい不動産投資の投資効率」を確認してみます。
不動産の投資効率の現実
不動産投資の儲け「キャッシュフロー」は、いくらぐらいなのか。首都圏、地方、新築、中古、アパート、マンション、融資によって条件は変わりますが、僕がずいぶん前、1棟目に投資した首都圏の新築アパートを例にします。
・JR山手線駅から徒歩6分、地下鉄駅から徒歩3分
・木造新築アパート
・全9部屋
・価格1億3600万円
・大手不動産投資会社から購入
結果、いい場所を選んだので、現状、購入から数年経っていますが、満室経営を続けています。新築だから、修繕費用も発生しません。家賃の下落もなく、新築時から同じ家賃を維持しています。
実はこの物件は、銀行からフルローンの融資を受けて、購入しています。なるべく現金を手元に残すため、物件価格を100%融資してもらったわけです。手元に現金を残しておいたほうが、次の融資を受ける際に有利だからです。
で、キャッシュフロー、利益はいくらなのか、って話に戻ります。
税金、不動産管理会社への支払い、リフォーム費用、税理士費用、全ての出費を差し引くとほぼ手元に残るのは「1%-2%」というのが現実です。
経費計上金額や、入居者の入れ替わりで多少ブレますが、年間で約100万円-200万円が手元に残っています。これでも、選びに選んだ末に購入した物件の現実です。
まだ不動産投資を行ったことのないサラリーマンだと、
「1億3600万円を投資して、年間で約100万円-200万円しか手元に残らないの!?」
って、驚くことが多いと思いますが、コレが現実です。大手不動産投資会社を使い、首都圏、新築アパート、フルローンで投資した現実です。
セミリタイヤするには、年間2,000万円は欲しい所なので、最低10軒が必要になってしまいます。
多くの不動産投資に興味を持っているサラリーマンが夢見る「セミリタイヤ」までの道のりが、現実ではいかに困難か、分かるのではないでしょうか。
この、僕が1棟目に購入した新築アパートについて、詳しくまとめた記事があります。
<この記事を読んで理解できる事>
・大手不動産投資会社との付き合い方。
・良い会社と駄目な会社の見分け方。
・良い物件と良くない物件の見分け方。
・なんで僕が新築アパートを買う事にしたのか。
・買って後悔していないのか。
・5年間のアパート経営の実際の利益や儲け
不動産投資は事前の収支シミュレーションが大事
今だから言えるわけですが、事前の収支シミュレーションが一番大切です。この事前の収支シミュレーションが、どれだけ正確なのか、リスクを網羅しているのか、で、その後の2棟目の展開が変わります。
出来る限り早く規模を拡大して「セミリタイヤ」まで到達したいわけなので、2棟目に取り掛かれるのはいつなのか、把握するためにも収支シミュレーションは必要です。
不動産投資会社が提出してくれる、リスク数値が考慮されていない、一番ベストだと仮定した収支シミュレーションではダメです。それが失敗のもとです。
かと言って、未経験者では収支シミュレーションなんて難しいわけです。そこは、勉強して解決しましょう。
勉強方法は「本」です。インターネットの無料情報を検索する事ではありません。
「インターネットで無料で情報を集められる時代に、本かよ!」
と思わないでください。次に、その理由と、当サイト推薦の不動産投資の本を説明します。
読書で知識をつけることがリスク排除の第一歩
インターネットには無料の不動産投資情報が溢れています。
「わざわざお金出さなくても、ネットでググれば良いじゃん!」
不動産投資において、この考えは危険です。というのも、ネット上にある無料の記事は、不動産投資会社が集客用に書いた記事が多いわけです。つまり、情報の内容が偏っています。
本の場合は、著者が持っている知識を全力で本にぶつけている場合が多く、メリットもデメリットも書かれており、情報の偏りがありません。
ただし、不動産投資会社が集客のために発行した本もあります。そこで、僕が厳選した推薦図書を用意しました。事前の収支シミュレーション方法が書かれた本も取り上げています。
<この記事を読んで理解できる事>
・なぜ不動産投資の勉強は本であるべきか。
・初心者が基礎知識をつけるための必読入門書7冊。
・不動産業者に騙されないための最低限の知識。
・初めてでも損をしない現実的な不動産購入方法。
不動産投資の理想と儲からない現実とは!まとめ
サラリーマンが不動産投資でリタイヤを実現しようとした場合、簡単ではない現実は理解できたでしょうか。
たった5年でリタイヤしたなど成功者の話を聞きますが、それは不動産市場が良い時期だったに過ぎません。参入者も少なく、たまたま安い時代があり、たまたま高い時代があって、上手く売買できただけです。
ただし、市場の波は常に訪れるわけで、次のチャンスをモノにするため、投資は続けていなければならないのです。投資は継続した人だけが、次に訪れたチャンスを物にすることが出来る現実があります。
・チャンスはいずれ訪れる、それを逃さないために勉強を継続すること。
上手くいかない95%のサラリーマンが陥る罠とは、思ったより儲からない現実からくる諦めや、不動産業者が全部やってくれるため次第に面倒くさくなる、といった本人のモチベーションや不動産投資に向き合う姿勢です。
投資は、長く続けなければ複利の効果は表れません。これを乗り越えた先に、リタイヤ実現が待っています。
モチベーション維持のためには、同じ志を持った不動産投資家の仲間を作ることを勧めます。同じステージにいる仲間は、自分の刺激になり、不動産投資に向き合うモチベーションにつながります。
例えば、僕と「不動産投資仲間」として、繋がってみるのはドウでしょうか。プロフィール記事は、この記事です。
なお、次の記事では、サラリーマンがリタイヤを目指すために必要な、1つの覚悟について提案します。
今回の記事では、不動産投資に興味があり、調べていく過程で「不動産投資で脱サラだ、セミリタイヤ生活だ!」と盛り上がっているサラリーマンに、アパート経営の現実の数字を見てもらおうと思っていますよ!