まだ不動産投資を始めていないサラリーマンは、不動産会社のセールスマンからよく言われることがある。
まだ何も知らない初心者だからって、騙そうとしているのではないだろうか?
知識の浅い状態では、このような考えが思い浮かんでしまう。
この際、はっきりとさせよう。
その話は本当かドウか。
この話を深堀して調べてみると、これが事実なのか、セールストークなのかが見えてきた。
不動産投資が年金の代わりになる理由
まずは、なぜ年金の代わりになる、と言っているのか考えてみよう。
今の日本の不動産は、キャピタルゲインではなく、インカムゲインを狙っていく投資だ。
キャピタルゲインとは、売却益のこと。
インカムゲインとは、家賃収入のこと。
株に例えると、100万円で買った株が120万円になって売ったら、税金は考えないとして20万円儲かる。
これが、キャピタルゲイン。
そして、株には配当がある。
権利確定日に100万円分の株を保有していると、配当金が1%支払われるとしたら1万円儲かる。
これが、インカムゲイン。
残念ながら今の日本の不動産市場は、値上がりは期待できない。
余程のインフレが起きて物価が値上がりし、紙幣の価値が下がれば、相対的に不動産の価値は上がるかもしれないが期待は薄いだろう。
都市部を除いて価値は少しづつ下がる可能性が高い、と考えるのが妥当だろう。
だから空室対策として、場所選びの重要性はかなり高し、その町の将来性なども調べておく必要性がある。
そうなると安く不動産を買って、高く売るキャピタルゲインは簡単に狙えない。
我々サラリーマンは、市場価格より安く購入できるようなコネクションや情報を持っていない。
堅実に、家賃収入というインカムゲインを狙っていくことになる。
そして、家賃収入というインカムゲインは、住人がいる限りは入ってくる。
不動産セールスマンは、インカムゲインを狙っていく我々サラリーマンに対して、この家賃収入を「年金の代わり」と言っているのだ。
家賃がずっと入ってくるなら、確かにその通りだ。
本当に年金の代わりになるか検証
以前の記事で、私の1棟目を紹介したことがある。
初めての1棟目の例で検証してみよう。
・JR、高田馬場駅から徒歩7分
・地下鉄、高田馬場駅から徒歩3分
・木造新築アパート
・全9部屋
・価格1億3500万円
私が65歳で定年退職して、公的年金とともに100万円の収入があれば、確かに老後の心配も少し減る。
そう、私が定年退職になるまでにあと数十年ある。
この建物も、私とともに年をとって劣化する。
物件の築年数にともない家賃も下がってしまうが、ローンは30年間おなじ金額で払わなければならない。
修繕費用もかかるだろう。
当然100万円のキャッシュフローは今の時点であり、年々下がっていく。
そうすると、出口といわれる売却タイミングも見えてくる。
これから購入する物件が、ローンを払いながらでもキャッシュフローを何十年も残してくれる物件は希だ。
もし年金代わりになるとしたら、ローン30年を待たずに繰り上げ返済を続け早期完済を行っていれば、いくら物件が古くなって修繕費用が必要だとしても年金代わりになる可能性はある。
しかし頭金を入れずに、フルローン融資を使った物件では難しい。
頭金を物件価格の40%とか入れるなら話は別だが、今買おうとしている物件を100%に近い大きな融資で始めるなら、年金代わりになる期待は計算に入れない方が良い。
古くなった物件の家賃収入が、ローン返済額と修繕費を上回り続ける可能性は低い。
その前に売却タイミングがあるはずだ。
また、繰り上げ返済を行う資金の余裕があるなら、その資金は次の物件購入にあてて規模を拡大していくべきだと考える。
物件を多く持っていると、リスク分散にもなるし、いずれかの物件がキャピタルゲインを狙える可能性も高まるからだ。
まとめ
不動産投資の未経験者が、始めの頃によく聞く言葉。
セールスマンも、
この言葉で安心するのは、未経験者のみ。
ただし、頭金を多く入れたり、ローン期日を待たずに完済できる人は、そのまま持ち続ければ年金の代わりになるだろう。
そのような人は、年金が不要なくらいの資産を持っていると思うが。
今回は「年金」に焦点を当てて考察したが、別の記事では「保険」に焦点を当ててみたので参考にしてほしい。